アメリカの”虎の尾”を恐れる政治家 日米関係の闇に一瞬の光を当てたロッキード事件
アメリカ発の疑獄
事件発覚の端緒は、アメリカからもたらされた。
アメリカの首都、ワシントンDCで起きたウォーターゲート事件、その捜査や調査の過程で、ニクソン大統領の陣営が違法な企業献金を受けていたという余罪が発覚し、そこから芋づる式にロッキード社の裏献金が判明した。
日本の政府高官や右翼のフィクサー、児玉誉士夫らにロッキード社から渡された30億円は、アメリカ議会の上院、外交委員会の下に設けられた多国籍企業小委員会の公聴会で1976年2月に公表された。
私(奥山俊宏)は、2009年にワシントンDCに半年間滞在する機会を利用し、米国の国立公文書館に通い、さらに、フォード、カーターの両大統領の図書館にも足を運んだ。その際のリサーチを土台にして、ロッキード事件を検証する書籍『秘密解除ロッキード事件』を2016年に著した。
CIAから日本の政治家に資金提供
著書『秘密解除ロッキード事件』で主題の一つに据えたのが、米政府の情報機関CIA(中央情報局)の関わりだった。
ロッキード事件が発覚してから間もない1976年4月、▽CIAがロッキード社の賄賂工作について報告を受けて知っていたとの疑惑、▽CIAがロッキード社の日本での活動に”相乗り”していたとの疑惑、そして、▽CIA自身も日本の政治家に資金を提供していた--との疑惑が米国内の報道で浮上した。
三木武夫首相の意向を受けて、日本外務省は、疑惑についてアメリカ政府に真偽を問い合わせた。12日後、アメリカ国務省から日本に対し、秘密裏に返答がもたらされた。「何らコメントする立場にはない」。ゼロ回答だった。ところが、宮沢喜一外相は国会で「返事は受け取っておらない」と言い張った。
CIAで三木首相が米政府に口裏合わせ要請
困り果てた三木首相は1976年5月6日、アメリカのホジソン駐日大使に会った際、「ノーコメント」の回答は肯定も同然だと難色を示した。

米国の駐日大使への三木首相の依頼を記録した日本外務省の文書
三木首相はホジソン駐日大使に「そういう事実はなかった」との回答を得たいと要請した。しかし、拒否された。

